スポーツギャンブルがある日常
スポーツに賭けることは英語でスポーツベッティング(Sports Betting)と言います。スポーツベット(Sports Bet)やスポーツギャンブル(Sports Gambling)、日本語で言うところのスポーツ賭博も意味は同じです。
世の中にはさまざまなギャンブル(賭けの対象になっているゲーム・競技、賭けながらプレーされるもの)がありますよね。
カジノのルーレット・ブラックジャック・バカラなどのテーブルゲーム。カジノのスロット。競馬やドッグレースなどのレース競技への賭け。ロトやビンゴや宝くじ。
そして、さまざまなスポーツへの賭け事。
世界に目を向けると、インターネットを通じたスポーツギャンブルは、多くの国や地域で一つの文化として普及しています。
昔のイギリスでは、スポーツギャンブルはオッサンが薄暗い店でこっそり遊ぶアングラな印象が強い娯楽でした。しかしここ数年で、スポーツギャンブルのイメージは世代を問わずカジュアルに親しむものに変わってきています。
なぜ一般的な娯楽へ変わってきたのか?普及の背景には何があるのか?そして、一体なにがほかのギャンブルと違うのか?
これらについて、現役ベッターの声を交えながらまとめました。
好きなチームや選手の勝利を願って賭ける。しっかり予想して利益を狙って賭ける。試合を観ながら賭けて、仲間とワイワイ楽しむ。いずれのスタイルにせよ、「スポーツギャンブルをやってみたい」「スポーツギャンブルで遊んでみたい」と考えているなら、このページの内容をぜひ忘れないでください。
スポーツギャンブルはスポーツファンの日常の一部
スポーツギャンブルとほかのギャンブルの違いは何か。
まず結論からお伝えします。
スポーツギャンブルと他のギャンブルは性質が異なる
その答えの一つは、金銭的なリターンが必ずしも一番の目的にはならないということです。
どういうことか?
たとえば、宝くじはくじを買うこと自体が楽しいとは思いませんよね。「当たったら何を買おうかな?」と期待しながら列に並び、ワクワクしながら結果を確認しませんか?
「くじのデザインが綺麗だから」とか「主催者(銀行)に寄付する気持ちです」みたいな理由で毎回買ってコレクションしている人はいないはず(笑)
カジノであれば、「旅行先のカジノに何人かで遊びにいき、ゴージャスな雰囲気のなかでお酒を片手にテーブルゲームに興じる」というイメージで社交が目的なら、ルーレットやバカラも楽しい時間を過ごすアクセントになるでしょう。
一方、そのようなオマケ感覚や遊び感覚でなければ「今日は勝つぞ!あわよくば土産代を稼ぎたい!いや旅行代をタダに!」と、儲かった自分の姿をイメージしてゲートをくぐるのではないでしょうか。
ディーラーとのやりとりを味わいながらも、大切なのは勝ち負けのほう。
オンラインカジノは基本的に一人で遊びますから、「儲けたい」という気持ちがプレー動機の大部分を占めると思います。
あるいは暇つぶしか。
では、宝くじでもカジノのゲームでも「高額当選や大当たりが出てもお金には換金できません」とあらかじめ分かっていれば、そのゲームをするでしょうか?
おそらくほとんどの人はノーと言うでしょう。
「儲かるかもしれない」という期待感や金銭的な見返りがなくなってしまうと、これらのギャンブルに対する魅力は極端に下がってしまいます。
つまり、カジノゲームは、リターンありきで成立する見返りが不可分の娯楽と言えます。
スポーツギャンブルは応援の"ついで"も動機となる
一方のスポーツギャンブルはどうか。
根底は同じかもしれませんが、スポーツやレース競技の賭けは、ほかのギャンブルに比べてリターンの重要性が薄い。
あるいは、人によって捉え方が大きく変わる柔軟性を持っています。
それは、性質の違いと言えるかもしれません。
もっと簡単に言い換えると、スポーツギャンブルは、儲けたいという動機以外にも「もともとスポーツが好きなファンが、応援の"ついで"に賭けてみる」というのがプレーの大きな理由となります。
たとえばサッカーファン同士、野球ファン同士は「この試合どっちが勝つと思う?」「何点差つくだろう?」なんて会話は、あたり前のようにしますよね。
応援しているチームの試合を何人かで観にいく道中、「今日は勝ってくれよ!」と期待しながらテンションを上げる。これもスポーツ観戦の一コマですね。
スポーツギャンブルは、その会話の延長にあります。
「よし、応援のついでに勝利オッズに50ドルぐらい賭けておくか」とベットすることは、試合観戦にちょっとした刺激を加えるようなもの。
このとき、「賭けが当たれば嬉しい」という期待も当然わいてきますが、その結果をもたらすのは「推しチームの勝利」ありきです。
つまり、賭けの的中による利益は、もともと「今日は勝ってくれよ!」と願っていた気持ちの副産物。
たとえば、シーズン開幕前には「今年の優勝チームはどこだろう?」と、ファン同士で語り合いますよね。
スポーツギャンブルは、やはりその延長にあります。
「今年は俺は本命に賭ける」と、見込みがありそうなチームを選ぶ人もいるでしょう。「俺は地元一択!」と、ホームチームに応援の気持ちで賭ける人もいます。
自分の推しチームがずっと低迷中なら、そのチームに賭けることは「今年こそはよろしく頼む!」と、神社での願掛けに近いものがあります(笑)
この画像は、2019年のプロ野球の優勝オッズです。
ブックメーカー各社は、サッカーJリーグ、バスケBリーグ、そのほか各種スポーツ・大会にこのような優勝予想オッズを用意します。
ベットしておけば、シーズンまるまるが何倍もエキサイティングなものに変わります。
つかんだチームが優勝争いに絡んでいるときのドキドキ感はたまりません。
スポーツギャンブルがある日常(実例)
アメフトファン(アメリカ人)のベッターは、毎年かならずピッツバーグ・スティーラーズに賭けています。
本命はまったく無視して、スティーラーズの優勝一択。試合もすべて応援賭け。
シーズン終了後に酒を片手に振り返りながら、収支がプラスだったかマイナスだったかを語るのが恒例となっています。なお、最近のスティーラーズは低迷しているため、「今年もやっぱりダメだった」とネタにしています。
イギリス人の知人ベッターはサッカーのプレミアリーグのリバプールファンで、「今年もどうせダメだと思う」と前置きをしながらシーズン開幕前に優勝予想オッズに賭けるのが毎年の決まりごと。
ただ、ドイツの名将クロップ氏が監督に就任した2015年以降は期待の高まりから話の熱が違います。(追記:2018/19シーズンにチャンピオンズリーグで優勝、その翌年の2019/20シーズンに国内リーグを制覇しました。このときのテンションは凄まじいものがありました笑 賭けも千ドル以上のプラスだった様子)
以前、イギリスのとあるパブでサッカーを観ながら飲んでいたとき、ロンドン在住のルーマニア人の男性と居合わせました。彼は自国リーグのアストラ(かつて日本人の瀬戸選手が所属していたチーム)が好きで、毎試合に賭けているそう。
さらに、プレミアリーグではウェストハムと、2部や3部の試合にも賭けるのがルーティンだと、ウィリアムヒルの自分のアカウントの履歴画面を見せながら楽しそうに語ってくれました。
履歴にハズレばかり並んでいた時期もあったので「メンタルは大丈夫?笑」と聞いてみたら、「もちろん勝って儲かれば嬉しいけれど、応援がメインだから気にしてないし、もはや生活の一部になっている」と言っていたのがとても印象的でした。
のめり込むこともなく、あくまで応援の一環、趣味として遊んでいるそうです。
スポーツ賭博=スポーツのスパイス
スポーツへの賭けは、ギャンブルでありながらリターンが中心ではない。いや、人によっては儲けたいというモチベーションで賭けていると思いますが、そのスポーツをもっと楽しむためのプラスアルファなんだと、彼らの話を聞いて強く感じました。
サッカーのワールドカップで、友達同士で優勝予想するついでに賭けてみたら当たった。オリンピックの金メダル予想オッズで、賭けた選手が優勝した。
もとから関心があるスポーツに、身銭を切って没入する。
応援と勝利。そのおまけに、賞金がついてくる。
そんな、スポーツの楽しみ倍増させるスパイスという感覚でつきあえるところが、ほかのギャンブルにはないスポーツギャンブルの魅力。
実際にやってみると、これが本当におもしろい。
(プレミアリーグの試合観戦中にオッズを確認。現地撮影)
友人とスタジアムへ試合観戦にいく機会があれば、「今日はどちらが勝つと思う?」と予想しながら、ついでにスマホで勝敗オッズに賭けてみてください。それが野球でもテニスでも同じ。
予想が当たれば、その賞金で友人にもビールや食事をおごる。みんなハッピー。
スポーツギャンブルはスマホと相性が良い
もう一つ、スポーツギャンブルの印象が変わってきた理由には物理的に参加が簡単になってきたことも挙げられます。
イギリスでのブックメーカーの歴史を振り返ると、最初期は競馬のみが対象で、レース場で業者に直接賭け金を渡さないといけませんでした。
その後、サッカーをはじめ各種スポーツが対象となり、街中に店舗ができて現地へ行く手間が省けるように。さらに電話やFAXを使って賭けられるようにようになると、自分がわざわざ出向かなくてよくなりました。
随分と手軽になってきましたが、まだこの頃は一部のギャンブル愛好家の趣味という感じでした。
ところが、1990年代後半からオンライン化が進んで自宅のパソコンから参加できるようになると、普及が一気に加速します。
ネットで賭けて、テレビでスポーツ観戦。あるいは観ながら賭ける。
そんな楽しみ方が広がっていきます。
そして2010年頃からモバイル端末の進化、スマホの誕生によってブックメーカーを手元に持ち歩けるようになり、とうとう「賭けに行く」から「その場で賭ける」時代へ。
この変化は、ランドカジノへ行く必要がなくなったという点でオンラインカジノも同じです。画面の向こうで実際にディーラーがゲームを進行する「ライブカジノ」は、本物さながら。
ただ、カジノは"時間つぶし"や"儲けたい"など理由はどうあれゲームで遊ぶこと自体が目的ですから、「何かのついでにカジノで勝負しておこうか」とはなりません。
一方でスポーツの賭けは、すでに触れたようにスポーツ観戦の"ついで"にという感覚で遊べるため、「その場でスマホから」という手軽さとの相性が良い。
さらにbet365をはじめ、いくつかのブックメーカーはサイト内にてスポーツの生中継を配信しています。
そのため、サイトそのものが屋外でスポーツの視聴を楽しめるツールとしても役立ちます。
(スマホで試合を観ながら賭ける)
手元のスマホから賭けてスパイスを注ぐ。あるいは手元のスマホで試合を観ながら賭ける。
このような遊び方が広がってきたことで、オッサンが薄暗い店でマークシートにチェックをするというイメージから、手軽でカジュアルな一般大衆の娯楽に様変わりしました。
スポーツギャンブルはスポーツ愛を深めるエンタメ
いまのブックメーカーの原型は18世紀末にイギリスで生まれましたが、「スポーツを賭博対象とする」という考えや文化は最近になって生まれたものではなく、実は起源は2000年以上前に遡ります。
ヨーロッパでもアジアでも、もちろん日本でも親しまれてきました。
最初は、王侯貴族の娯楽です。奴隷を走らせたり何かを登らせたり、あるいは決闘させたり、時には動物と戦わせて結果を予想し、金品や当時の高価なものを賭けていたのでしょう。
古代ローマでは、戦闘馬車によるレースが行われていたという記録も残っているようです。記録がないだけで、一般大衆も遊んでいたに違いありません。
レースや競技に賭ける。
そうした行為がパソコンやスマホの誕生などの技術の進歩によって24時間365日どこでも楽しめるようになったのは、人間のギャンブルに対する深い衝動に基づく必然なのかもしれません。
最後に個人的な意見になりますが、私自身が15年以上この世界をみていて飽きないのは、やっぱりスポーツベッティングがただのギャンブルではなく、スポーツをもっとおもしろくするための付加価値だという、ほかのギャンブルと「見返りの性質」に根本的な違いがあるからだと思っています。
「儲かった!」「損した…」だけじゃない刺激と満足がたっぷり詰まっています。
さらに、スポーツギャンブルを通じてこれまで関心が薄かったスポーツを知ることができ、魅力を発見することができました。
スポーツ愛が深まる、というのは大げさかもしれませんが、スポーツがもっと好きになる・深く追求するきっかけになったのは間違いありません。
どんなスポーツでも、活躍している日本人選手や日本人所属チームがあり、応援賭けして勝てば嬉しいです。
また、スポーツごとに何十・何百種類もの賭け方があり、そのスポーツについて深掘りするほど「この試合なら勝敗じゃなくスコア予想が最適かな?」と、アプローチが柔軟になります。それもおもしろさの一つであり、ほかギャンブルよりも甘い(勝ちやすい)ところ。
パソコンやスマホ一つで、世界のスポーツがもっと身近に。「スポーツのおまけ」として接する、ちょうど良い距離感をお忘れなく。