2020年8月15日夜(日本時間では16日の早朝)世界に衝撃が走りました。欧州サッカークラブの頂点を決める国際大会、UEFAチャンピオンズリーグ2019/20の準々決勝で、バイエルン・ミュンヘンがバルセロナから8ゴール奪って完勝。
ドイツの絶対王者たるバイエルンと、メッシ擁するスペインの強豪バルセロナの一戦。互いにCL優勝5回の経験を持つ最上級の超好カードで、「どんな結果になるだろうか?」と、スポーツメディアもサッカーファンも試合前から大盛り上がりでした。が、終わってみれば予想だにしない記録的なスコアによる決着で、リアルタイムで観戦していた方は度肝を抜かれたんじゃないでしょうか(私もその1人です笑)
この結末は、両チームにもCLの歴史にもさまざまなレコードを残すことになったわけですが、それらと共にブックメーカーによる賭けのオッズもなかなか面白いものがいくつも的中扱いとなりました。
それらのオッズを絡めて、ギャンブル的な側面からこの歴史的試合を振り返ってみようというのが本ページの趣旨です。
当サイトにお越しの皆さまはご存知のとおり、ブックメーカーではサッカー(特にメジャーな大会)には数百〜千種類ほどのオッズ(賭け選択肢)が用意され、試合前〜試合中に賭けることができます。
果たして、試合前はどんなオッズが出ていたのか、この衝撃の結果に対して何倍のオッズが的中扱いになったのか!?
振り返って試合の余韻をお楽しみください!
CL2019/20準々決勝バイエルン8-2バルセロナ
チャンピオンズリーグ2019-20は、新型コロナウィルス感染症拡大のため3月から5ヶ月間中断していました(決勝トーナメント初戦"ラウンド16"の2ndレグの途中でストップ)
8月7~8日に、まずラウンド16の残り4試合からリスタートし、中断前にベスト8入りを決めていたPSG、アトレティコ、アタランタ、ライプツィヒとともに、マンチェスター・シティ、バイエルン、バルセロナ、そしてユヴェントスを破ったリヨンが準々決勝へ勝ち進みました。
そのあと準々決勝から決勝までは、ホーム&アウェイ方式ではなくポルトガルのリスボンにあるベンフィカのホームスタジアムに全チームが集まり、短期集中の1発勝負での開催となりました。
準々決勝の結果とオッズ
08/13(水) 04:00 | アタランタ 1 - 2 PSG | 3.05 - 3.80 - 2.10 |
---|---|---|
08/14(木) 04:00 | ライプツィヒ 2 - 1 アトレティコ | 3.25 - 3.10 - 2.30 |
08/15(金) 04:00 | バルセロナ 2 - 8 バイエルン | 3.20 - 3.75 - 2.05 |
08/16(土) 04:00 | マンチェスター・シティ 1 - 3 リヨン | 1.28 - 5.60 - 9.25 |
まず初日は、PSG対アタランタ。試合終了間際までアタランタが1-0で勝っていましたが、残り3分でPSGが2ゴール奪い大逆転の劇的勝利。その翌日は、新進気鋭のライプツィヒがアトレティコに競り勝って、2回目のCL出場にしてベスト4入りを果たしました。
試合日の順番で1日飛ばして、4試合目のマンチェスター・シティvsリヨンも番狂わせ。優勝候補の一角と評されていたシティを相手にリヨンがシンプルな攻めと硬い守りで圧倒、1-3で勝って10年ぶりのベスト4進出。
こうした連日のドラマのなかで、一際インパクトを残したのが3日目の試合、本題のバイエルンvsバルセロナです。
以下、スコアと出場選手とハイライトをご覧ください。
試合結果
バイエルン 8 - 2 バルセロナ
4' ミュラー(バイエルン)
7' アラバ(オウンゴール)
21' ペリシッチ(バイエルン)
27' ニャブリ(バイエルン)
31' ミュラー(バイエルン)
ハーフタイム
57' スアレス(バルセロナ)
63' キミッヒ(バイエルン)
82' レヴァンドフスキ(バイエルン)
85' コウチーニョ(バイエルン)
89' コウチーニョ(バイエルン)
結果論ですが、単純にバイエルンのスピードと統率の取れたハードワークに対しバルサの守備があまりに緩すぎたということが、この結果に至った要因かと。今季のバルサの課題がモロに浮き彫りにされた形です。観ていた方は序盤から明らかな両者のクオリティの違いを感じられたのではないでしょうか。
開始早々はスアレスの決定機もありましたが、ノイアーがシャットアウトし、そのあとすぐにミュラーの1発が決まってバイエルン先制。その3分後にアラバの見事(?)なオウンゴールで同点になりましたが、ペリシッチ、ニャブリ、ミュラーが立て続けに決めて4-1で折り返します。
後半は、12分にジョルディ・アルバからのパスを受けたスアレスによるゴールでバルサが1点返しますが、以降はさらにバイエルンが攻勢を強めます。
特に後半18分の、左SBのアルフォンソ・デイビスのアシストから右SBのキミッヒのゴールは、そこに至るまでのパスワークの揺さぶりの時点で「これは決まるな」と感じさせるような圧がありました。
そして最後は、奇しくもバルサから期限付き移籍でバイエルンに在籍しているコウチーニョが、後半31分の出場からたった12分で2ゴールを叩き込んで引導を渡し、ジ・エンド。
前半4-1、後半4-1。結果は8-2。文句なしのドイツ王者の完勝です。
あまりに一方的すぎたこの展開に、2014年のブラジルW杯のミネイロンの惨劇を思い出したファンも多かったと思います。(準決勝でドイツがブラジルに7-1で勝利)
残された数々の記録
この試合は、バイエルンにもバルセロナにも、そしてチャンピオンズリーグの歴史においても数々の記録を残すことになりました。
それがこちら。
- バイエルンは、CL決勝トーナメントで8得点を記録した初めてのチームに
- バイエルンは、CL決勝トーナメントで最速で4ゴール決めたチームに(31分。これ以前もバイエルンで、14/15シーズンのポルト戦の36分から5分短縮)
- 両チーム合計10ゴールは、CLの決勝トーナメントで最多記録(GSを含めると、16/17のドルトムントvsレギア・ワルシャワの8-4が最多)
- バイエルンは、欧州カップ戦で史上初めてバルセロナを相手に前半で4得点したクラブに(逆にバルセロナは史上初の前半4失点)
- バイエルンは、この試合を含め今季CLでここまでで計39得点(クラブ最多記録)
- バルセロナは、欧州カップ戦で失点のワースト記録を更新(これまでは5点が最多)
- バルセロナが公式戦で8失点したのは、74年ぶり(1946年の国王杯セビージャ戦で0-8の敗戦)
- バルセロナは、この敗戦によって07/08以来12年ぶりに無冠でシーズン終了
- ミュラーは、この試合の2得点によって、CLでバルセロナからもっともゴールを決めた選手に(通算6得点)
- メッシは、キャリア史上ワーストの敗戦(これまでは、2009年のアルゼンチン代表でのW杯予選ボリビア戦で、1-6)
バイエルンにとっては歴史に残るベストゲーム。バルセロナにとっては消せない汚点となりました。12シーズンぶりの無冠で、一時代の終焉を感じさせますね。
ブックメーカーのオッズ的には結果はどうだったのか?
さて、いよいよここからが当ページのメインです。
この試合に対し、ブックメーカーは試合前にどのようなオッズを出していたのか。
そして、どのオッズ(倍率)が的中扱いだったのか。
普段から私も使用している日本語ブックメーカー10betJapan(テンベットジャパン)、WilliamHill(ウィリアムヒル)、Sportsbet.io(スポーツベットアイオー)の3社で、キックオフの1時間ほど前にサイト上でチェックしたオッズを見直して、的中オッズの一部を抜粋してみました。
試合結果やスコアに関する的中オッズ
最初は、試合の勝敗予想やスコアに関するオッズから。
上の画像を見ていただくとわかるように、今回の試合は90分間の結果予想はバルセロナ3.4倍、ドロー4.15倍、バイエルン1.95倍(10bet)でした。つまり、バイエルンの勝つ見込みが高いと評価されていたようなので、結果自体は順当と言えます。
延長戦やPKまで含めてどちらが勝ち進むかという予想オッズにおいても、バルセロナ2.37倍、バイエルン1.53倍(William Hill)でした。
ハンデをつけて勝敗を判定するタイプの3択予想オッズでは、今回点差が6点あるため、選択肢のバイエルンに賭けていればすべて的中。試合前に用意されていたオッズのなかでは-4が最大で、23.5倍でした。(10bet)
勝敗と点差を組み合わせたオッズだと、バイエルン4点差以上の勝利は13.5倍。(10bet)
試合中の総ゴール数をオーバー/アンダー形式で予想する賭けでは、8-2で10点動いているためオーバーオッズは全部的中です。そのなかで最大の選択肢はオーバー7.5の18.75倍でした。(10bet)
サッカーの試合で、8点以上動くだろうという予想はなかなかできませんね(笑)
前半のみのゴール数オーバーアンダー予想も、最大値であるオーバー3.5の10.25倍までオーバーオッズはすべて的中扱いとなります。(10bet)
前半のみのチームごとのゴール数予想もご覧ください。
バイエルンは前半で4点決めているため、このオッズでは4+の40.05倍に賭けていた方は正解。バルセロナの1点の2.45倍も当たりです。(10bet)
最終的な試合結果が「何対何」なのかを予想するコレクトスコア予想オッズを確認してみたところ、「8-2でバイエルンが勝利する」という選択肢は用意されていませんでした。
一方、前半のみの試合結果予想ではバイエルンの4-1があったようで、オッズは66倍でした。(William Hill)
このオッズに賭けていた方は、31分にミュラーが2点目を決めて4-1になった時点から前半終了までの約15分、「これ以上入るな!」と心臓バクバクだったでしょうね(笑)
後半のみの試合結果予想もあります。後半もバイエルン4点バルサ1点の4-1だったため、56倍が的中扱い。(William Hill)
もしも前半4-1の66倍、後半4-1の56倍に1万円ずつ賭けていたら90分で120万円の利益でした。(そんな攻めた賭け方をされたベッターさんがいらっしゃいましたら、的中おめでとうございます!)
前半・後半ともに両チームがゴールを決めるかの賭けでは、はい/はいの7.4倍が的中です。(Sportsbet.io)
勝敗結果そのものは試合前の見込みどおり順当でしたが、8-2のスコアは完全に想定外だったということが的中オッズからもみてとれますね。
選手のゴールに関する的中オッズ
次は、選手ごとのスコア予想オッズについてみてみましょう。
こちらの画像は、ウィリアムヒルのスコアラー予想オッズのバイエルンの選手のオッズです。的中扱いとなる選択肢を囲っています。"いつでも"は90分間に1点でも決めたら的中。
レヴァンドフスキ | いつでも:1.6倍 |
---|---|
ニャブリ | いつでも:2.45倍 |
ミュラー | いつでも:2.9倍 2点以上:15倍 最初:8倍 最初か最後:4.5倍 |
ペリシッチ | いつでも:3.1倍 |
コウチーニョ | いつでも:3.1倍 2点以上:17倍 最後:8.5倍 最初か最後:4.75倍 |
キミッヒ | いつでも:5.8倍 |
これらのオッズに賭けていた方は的中です。ミュラー推し、コウチーニョ推しで応援賭けをしていたサポーターには最高の結果ですね。(なお、バルサ側のオッズでスアレスの2.15倍も的中扱いです)
選手ごとの得点方法やアシスト・シュート数などの賭けもあって、レヴァンドフスキがヘッドで決めるの6倍も的中です。ミュラーの先制ゴールもアシストしているため、アシスト数オーバー0.5の4倍も。(10bet)
選手のスタッツや特殊な複合系オッズ
さらにみていきましょう。
ブックメーカー各社では、試合中の各種スタッツに関する予想オッズや、組み合わせたスペシャルオッズもいろいろ用意されています。以下はその中の抜粋です。
こちらはWilliam HillのYourOdds(ユアオッズ:ユーザーのリクエストで用意された賭け)の一部。
「レヴァンドフスキの枠内シュート2以上とミュラーの1本以上 @6.5倍」という選択肢は、実際レヴァンドフスキは4本、ミュラーは2本の枠内シュートを記録しているため的中です。
同じくYourOddsより。「ビダルとキミッヒにカードが出される @8倍」は、85分にキミッヒがイエローカードを受け、さらに終了間際の後半アディショナルタイム1分にビダルがイエローで的中となりました。
賭けていた方は、キミッヒがカードをもらった時点でビダルが残り時間で何かやらかすことを願ったかと(笑)
さらにYourOdds。「スアレスとレヴァンドフスキがゴール、スアレスがカード、バイエルンが次戦進出 @ 17倍」の複合オッズも的中です。スアレスは54分にカードをもらいました。
もう1つYourOddsから。「両チームとも前後半共にゴール、カード4枚以上、コーナー12本以上 @ 67倍」は、カードは6枚、コーナーは15本だったため的中です。
こちらは、10betの最初にカードを出される選手の予想オッズ。前半42分にボアテングにイエローカードが出されました。彼の11倍オッズに賭けていた方は的中おめでとうございます!
こちらはSportsbet.ioのプレイヤーごとのシュート本数予想オッズの一部です。画像に写っているのはゴレツカやミュラーの本数予想の部分。ゴレツカは4本を記録し、ミュラーは2本だったため、「ゴレツカ4+ @7.89倍」や「ミュラー2+ @1.88倍」のオッズは的中です。
この他にもスタッツ系のおもしろいオッズは多数あり、以下に的中扱いとなる選択肢をザッとピックアップしてみました。
ニャブリがアシスト @ 4.5倍
ミュラーが右足でゴール @ 4.5倍
ミュラーが左足でゴール @ 13倍
キミッヒがゴール&カードを出される @ 21倍
ミュラーの枠内シュート数2本以上 @ 5倍
コウチーニョの枠内シュート数2本以上 @ 2.25倍
アルフォンソ・デイヴィスのアシスト数1以上 @ 7倍
ゴレツカのアシストOver0.5 @ 5.5倍
スアレスのシュート本数Over2.5 @ 2倍
ミュラーのゴール方法で両足に賭けていたら最高の結果でしたね。
他、ウィリアムヒルの試合中の賭けでは「2番目のゴールがオウンゴール @ 21倍」というオッズも今回的中となったようです。
セティエン監督解任不可避でさまざまなオッズが登場
そして試合後には、あまりに無策と非難されたバルセロナのキケ・セティエン監督の解任論が一気に高まり、次期監督予想オッズがすぐに登場しました。
こちらは22betのオッズで、セティエン監督が8月23日(CL決勝日)までにバルサを去るかどうかという賭け。このオッズが出たあと、実際に17日に解任が発表されました。
こちらはウィリアムヒルのバルサ次期監督予想オッズ。
シャビが本命、前スパーズ監督のポチェッティーノやバルサB監督のピミエンタ、ベルギー代表監督のマルティネスなど候補がずらり。結局、19日にロナルド・クーマンの就任が発表されました。よって、13倍が的中扱いに。
クーマン氏は選手としてバルサで1989-95年まで過ごし、指導者としては98年-00年までアシスタントコーチを務めていました。この就任直前は2018〜2020年まではオランダ代表監督です。
バルセロナ再建なるか、手腕に注目ですね。
バイエルンvsバルセロナのギャンブル的振り返りまとめ
さて、いかがでしたでしょうか。CL史上に残るスコアでの決着となったバルセロナとバイエルンの試合。戦力にはっきり格差があるクラブ同士ならこのスコアも頷けるのですが、ネームバリューがある強豪同士による準々決勝での結果という点が一層衝撃です。
私はバイエルンの突破やレヴァンドフスキのゴール、両チームのスコアなどいくつか賭けていて、トータルで勝利しました。(ただ、スコアは1-3ぐらいかと予想して賭けていたため、前半31分で早くも不的中に笑)
今シーズンのクラブの内情を踏まえると、試合前からバイエルンの見込みの方が十分に高かったように思います。オッズもそれを反映していますし。
また、バルセロナはここ数シーズンのCLは最後に大量失点で敗退しているため、シーズンをまたいだフラグも立っていたのかと(笑)昨年の準決勝はリヴァプール相手にホームの1stで3-0の勝利から、アウェイの2ndレグで4-0の敗戦。トータル4-3で逆転負け。その前年はローマに3-1勝利、0-3敗戦で4-4アウェイゴール差負け。さらにその前はユヴェントスに1stで0-3負け、ホームでの2ndはスコアレス。
この流れを踏まえると、今回のバイエルン戦はちょうどフラグ回収のタイミングか…という感じでした。ただ、8-2は予想だにしなかった…
あまりにもインパクトが強かったので、オッズ的な観点からの記録としてこのようなページを作りました。
まだ賭けたことがなくこのページをご覧になったなら、ブックメーカーのオッズの多彩さ、おもしろさもイメージいただけたかと思います。
おまけ:決勝はバイエルン対PSG
このページを書いているのは、パリ・サンジェルマンとバイエルンによる決勝の2日前。奇しくも両方共に独仏対決となった準決勝では、PSGはライプツィヒに3-0、バイエルンもリヨンを3-0で下し、ファイナルへ到達しました。
初決勝で初優勝がかかるPSGの前線は、ネイマール、ムバッペ、ディマリアら個で打開できるタレント揃い。一方、7季ぶり決勝、6度目の優勝を狙うバイエルンは個のクオリティもチームとしての完成度も高い。どちらも攻守の切り替えが速く、非常にスピーディな展開が予想されます。
とにかく、楽しみであることは間違いありません。オッズも大量に出ていますから、もしも試合前に当ページをご覧になったなら、各ブックメーカーにてチェックしてみてください。私も試合直前まで情報収集してたっぷり満喫したいと思います。