スポーツを見ていて、「ユニフォームシャツの胸についているあのロゴ何だろう?」「スタジアムの壁のあの広告やけに目立つな…」と思ったことはないでしょうか?
それはもしかするとブックメーカーの社名かもしれません。彼らはスポーツ業界と深いつながりを持ち、ひとたびブックメーカーの利用をはじめてからスポーツ観戦していると「あ、ここにも業者の名前が!?」としょっちゅう目にするようになるでしょう。
このページでは、そんな「ブックメーカーのスポンサーシップ」に焦点を当てました。ウィリアムヒル、スポーツベットアイオー、bet365、そのほかブックメーカー各社のスポーツクラブ、選手、大会やスポーツ関連団体などへの後援実績を一覧にしてまとめています。
プレーには直接関係ありませんが、間接的には役立つ時が来るもしれません。業界に関する知識を深めるお供としてお楽しみいただけますと幸いです!
ブックメーカーはなぜスポーツクラブをスポンサーする?
当サイトにご訪問いただいている読者の皆様は「ブックメーカーってなんぞ?」ということはもはや説明不要かと思います。また、シャツや競技場の壁に彼らの名前があっても何も不思議は感じないでしょう。
サラッと触れると、ブックメーカーとはスポーツの賭けを提供する合法的な事業者で、私たち世界中のユーザーはネットで参加してスポーツに賭けて楽しめます。スポーツを観ながらお金が稼げるかもしれない娯楽。スポーツファンにとって、それがおもしろいというのは言うまでもありませんね。
本題に戻ります。ブックメーカーがサッカークラブやその他スポーツチーム、各種スポーツイベントとスポンサー契約を結ぶのは、シンプルに自社のブランディングと宣伝のため。スポーツにギャンブルの機会を与えるというビジネスの性質上、クラブの後援は非常に宣伝効果が高いそうです。サポーターは自分のクラブのスポンサー企業に対して良い印象を抱く傾向があり、それがギャンブルの企業であるならそのサイトで賭けても良いと考える割合が高まるという調査結果もあるそうです。
その結果、私たちが試合を観戦するごとに彼らの社名を目にするようになるわけです。大会名、スタジアムの壁、ピッチサイド、床、シャツの胸や肩、そしてボクサーのトランクスにまで。
スポンサー契約の種類|ベッティングパートナーとは?
ブックメーカーが締結するスポンサー契約にはいろいろな種類があります。
対象を限定せずに全面的に協力関係を結ぶパートナー契約、ユニフォームにロゴを乗せるだけの契約、サッカーチームのホームスタジアムのピッチサイド広告を出稿するだけ、大会のメインスポンサーとして社名をつける、そのほか商業的な協力関係、知名度のある有名選手がブックメーカーの宣伝に協力するアンバサダー契約など、形式はさまざま。
これらのうち、包括的な契約をベッティングパートナー(Betting Partnership)と言います。日本では聞きなれない単語ですが、業界としてはよく耳にします。
例えば、イングランドのサッカー協会(FA)とウィリアムヒルはかつて公式ベッティングパートナーでした。10betとユヴェントスも2019年-2020年にベッティングパートナー契約を結んでいます。契約時にはニュースサイトや公式サイトが「●●ブックメーカーと●●が公式ベッティングパートナー契約を結びました!」と報じます。
"公式ベッティングパートナー"と聞くとなにやら凄そうな響きですが、賭博(ベッティング)の事業者が主要スポンサーに就くのをそう呼ぶだけで、深い意味はありません。しかし、ブックメーカーによってはスポンサー契約中に選手のサイン入りグッズのプレゼントや、そのチームや大会の賭けで特別ボーナスの提供、さらには観戦付の招待旅行まで用意することがあります。
目的が宣伝であっても、このようなかたちでメリットが生じるのはありがたいですよね。冒頭で「プレーに間接的に役立つかもしれない情報」と書いたのはそのためです。ボーナスは美味しい、好きな選手のサイン入りグッズがもらえたら嬉しい。だから、最新のスポンサー状況も一応知っていて損はないと思います。
ということで、ここからは各ブックメーカーの新旧実績をご覧ください!
ウィリアムヒルのスポンサー活動実績
1934年に創業した業界のブランド企業ウィリアムヒル(William Hill)がブランドたる所以は、多方面でスポンサー活動に積極的だから。これまでにさまざまな実績を残しています。
2016-
【サッカー】イングランドのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)と2年のパートナー契約(2018年に延長)
2014-
【ダーツ】ダーツ最大の世界大会PDCワールドチャンピオンシップとタイトルスポンサー契約
2014-
【競馬】 スコットランド最大の競馬レースであるエアーゴールドカップ(Ayr Gold Cup)フェスティバルとタイトルスポンサー契約
2016年-
【ボクシング】イギリス人ヘビー級王者のアンソニー・ジョシュア(Anthony Jothua)とスポンサー契約し、彼のウェアや試合時のリング等にウィリアムヒルのロゴ掲載
2019年-
【サッカー】スペイン2部リーグ(セグンダ)の複数のチームとスポンサー契約
2019-
【バスケ】NBAと公式ベッティングパートナー契約
2015-終了済
【テニス】全豪オープンと複数年のスポンサー契約(ブックメーカーで初)でコートサイドにウィリアムヒルのロゴ掲載(しかし諸事情により翌年から不掲載)
2012-終了済
【サッカー】イングランド代表チームのスポンサー及びイングランドサッカー協会と2年間の公式ベッティングパートナー契約
2011-終了済
【サッカー】スコットランド代表チームの公式ベッティングパートナー及びスコットランドサッカー協会によるスコティッシュカップとタイトルスポンサー契約
2016-終了済
【サッカー】イングランドのエヴァートン(Everton)と2年間のパートナー契約
2016-終了済
【サッカー】イングランドのチェルシー(Chelsea)と3年間の公式ベッティングパートナー契約
スポーツベットアイオーのスポンサー活動実績
2016年にオープンしたスポーツベットアイオー(Sportsbet.io)は、ビットコインも賭けられるブックメーカーとして独自のブランドを築いています。特に2019年以降はスポーツ各界、そして"角界"とも繋がりが。
2021年-
【サッカー】ブラジル・セリエA所属のサンパウロ(Sao Paulo)と3年間のシャツスポンサー契約
2020年-
大相撲の元大関の把瑠都(ばると)氏とアンバサダー契約し、さまざまなコラボイベントを開催
2020年-
【サッカー】イングランド・プレミアリーグ所属のアーセナル(Arsenal)と3年間のベッティングパートナー契約
2020年-
【サッカー】イングランド・プレミアリーグ所属のサウサンプトン(Southampton)と1年間のスポンサー契約
2019年-
【サッカー】ブラジル・セリエA所属のフラメンゴ(Flamengo)とユニフォームのスポンサーシップ契約
2019年-
【サッカー】イングランドのワトフォード(Watford)と3年間のスポンサー契約を結び、ユニフォームの胸にSportsbet.ioのロゴ、肩にはビットコインのマークを掲載
2019年-
【サッカー】アルゼンチンのロサリオ・セントラル(Rosario Central)と商業的パートナーシップ契約
10betのスポンサー活動実績
10betは2003年創業の古参ブックメーカーで、これまでいくつかのスポンサー活動実績があります。新型コロナ蔓延により当初の予定より早期に終了したものの、2019年には複数の大型契約を結び話題となりました。(*以下は10betJapan単独ではなく10bet母体の契約です)
2019年-終了済
サッカーの元コートジボワール代表選手ディディエ・ドログバとアンバサダー契約
2019年-終了済
【サッカー】イタリアのユヴェントス(Juventus)と公式ベッティングパートナー契約
2018年-終了済
【サッカー】イングランドのブラックバーン・ローヴァーズ(Blackburn Rovers)と公式メインスポンサー契約
2018年-終了済
【サッカー】イングランドのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich Albion)と公式ベッティングパートナー契約
2017年-終了済
【サッカー】ドイツのヴォルフスブルク(Wolfsburg)と公式ベッティングパートナー契約
bet365のスポンサー活動実績
1974年創業のbet365は世界最大のブックメーカー。オーナーの父親は地元サッカークラブ「Stoke City」の会長であり、ホームタウンからグローバルまで強力なブランディングを展開しています。
2018年-
【サッカー】スペインのビジャレアル(Villareal)、エスパニョール(Espanol)、セルタ・ビーゴ(Celta Vigo)、ラーヨ・バジェカーノ(Rayo Vallecano)、ヘタフェ(Getafe)、アスレチック・ビルバオ(Athletic Club)、レアル・ベティス(Real Betis)、エイバル(SD Eibar)、ウエスカ(Huesca)、レアル・バシャドリー(Real Valladolid)もスポンサー契約。(ビジャレアル、エスパニョール、セルタは2年間シャツスポンサー。それ以外は広報やクラブ施設でのロゴ掲載)
2016年-
【サッカー】ブルガリアのルドゴレツ・ラズグラド(Ludogorets Razgrad)およびスラヴィア・ソフィア(Slavia Sofia)とシャツスポンサー契約
2012年-
【サッカー】イングランドのストーク・シティ(Stoke City)とシャツスポンサー契約。2016年にはスタジアムのタイトルスポンサーとして追加で複数年契約
1xbetのスポンサー活動実績
ロシア発の大型ブックメーカー1xbetも近年は大きなスポンサー活動で話題を集めています。
2021年-
【eスポーツ】CS:GOやDota等の大会を運営するESLとベッティングパートナー契約。また、Weplayesportsともパートナー契約。
2019年-
【サッカー】アフリカサッカー連盟(CAF)とスポンサー契約
2019年-
【サッカー】スペインのバルセロナ(Barcelona)とグローバルパートナー契約
2019年-終了済
【サッカー】イングランドのリヴァプール(Liverpool)とチェルシー(Chelsea)とスポンサー契約。(UKギャンブル委員会の規約抵触により早期終了)
2018年-
【サッカー】イタリアリーグのセリエAとパートナー契約
ピナクルのスポンサー活動実績
プロギャンブラー歓迎の一流ブックメーカーであるピナクルは、ビジネスの性質が他社と異なり宣伝活動は控えめ。それでもいくつかのユニークな後援実績があります。
2020年-
【eスポーツ】CS:GOのリーグを運営するFLASHPOINTとパートナー契約
2020年-
【eスポーツ】ブラジルのeスポーツ強豪チーム「サントス・ホットフォレックス(Santos HotForex)」とパートナー契約
2019年-
【eスポーツ】デンマークのeスポーツ強豪チーム「ノース(North)」とパートナー契約
188betのスポンサー活動実績
アジアで一定の知名度を誇る188bet。以前はUKでもサイトを運営していて、いくつかのスポンサー記録があります。また近年はF1のアジア公式パートナーとなり大きな話題となりました。
2021年-
【サッカー】ドイツのヴェルダー・ブレーメン(Werder Bremen)とシャツスポンサー契約を結び、ユニフォームの袖に188betのロゴ掲載
2020年-
【F1】アジア公式ベッティングパートナー契約を結び、サーキットの各所に188betのロゴが掲載
2016年-終了済
【ラグビー】イングランドのウィガン・ウォリアーズ(Wigan Worriors)とシャツスポンサー契約
2013年-終了済
【サッカー】イングランドのマンチェスター・シティ(Manchester City)とスポンサー契約
ベットウェイのスポンサー活動実績
イギリスの大手ブックメーカーであるベットウェイは、特にスポンサー実績が豊富です。冒頭の写真はロンドンの国際会議でベットウェイが出していたブースの壁面に描かれていた実績。競馬はイギリス各地の競馬場のベッティングパートナーであり、これまでに4000以上協賛してきました。
2021年-
【バスケ】NBAのブルックリン・ネッツ、シカゴ・ブルズ、クリーブランド・キャバリアーズ、LAクリッパーズ、ゴールデンステイト・ウォリアーズとパートナー契約
2021年-
【テニス】マイアミオープンの公式ベッティングパートナーに就任
2015年-
【サッカー】イングランドのウェストハム(WestHam)とパートナー契約を結び、ユニフォームやスタジアム施設その他にbetwayのロゴ掲載
2020年-
【サッカー】スペインのレアル・ベティス(Real Betis)とシャツスポンサー契約
2018年-
【サッカー】スペインのレバンテ(Levante)、デポルティーボ・アラベス(Deportivo Alaves)、エスパニョール(Espanol)、レガネス(Leganes)とシャツスポンサー契約
2018年-
【クリケット】南アフリカのスポンサーとなり、国内リーグ「T20チャレンジ」等に協賛。また同年に西インド代表ともスポンサー契約
2016年-
【eスポーツ】スウェーデンの強豪eスポーツチーム「ニンジャ・イン・パジャマズ(Ninjas in Pyjamas、NiP)」とパートナー契約
2017年-
【競馬】イギリス最大の障害レース「グランドナショナル」と公式ベッティングパートナー契約
2015年-
【スヌーカー】トリプルクラウンと呼ばれる世界三大大会の1つ、UKチャンピオンシップとタイトルスポンサー契約
2015年-終了済
【競馬】イギリス最大の競馬の祭典チェルトナム・フェスティバルのクイーンマザーチャンピオンチェイスのタイトルスポンサー(2021年で終了)
ブックメーカー各社のスポンサー活動は続く!?
いかがでしょうか?当サイトに掲載している各ブックメーカーのスポンサー活動のうち、特に目立ったものをピックアップしてご紹介しました。サッカークラブ、ラグビー、クリケット、eスポーツチーム、個人競技の選手、大会・レース、協会・連盟・団体などなど、過去実績のなかにはお気に入りのチームや賭けたことがあるイベントなども含まれていましたか?(膨大なため、不足情報についてはご容赦ください)
直接的にはプレーには何も関係ないのですが、ブックメーカー・スポーツベッティング業界の文化を知るための情報としてご紹介しました。
イギリスではブックメーカーのスポンサーは禁止の方向
ギャンブル企業のスポーツチームのスポンサー契約には国ごとに法律による規制や、そもそも契約自体の賛否も分かれています。
具体的には、イギリスのプレミアリーグはブックメーカーによるスポンサー活動を2023年から禁止としました。もともと、2005年にイギリスのギャンブル関連法規が改正されて、ブックメーカーの宣伝活動が認められるようになったのですが、イギリス国内でのギャンブル依存症増加の懸念や子供がギャンブルのロゴを目にする機会を減らすという目的から、この制限が決まったようです。
現在結んでいる契約は2023年まで。それ以降各クラブは新たなスポンサーを探さないといけません。ブックメーカーやカジノ企業が支払うスポンサー収益は特に下位チームにとっては貴重な資金源だったため、プレミアではこれから財政が苦しくなるチームが出てくる可能性もありそうです。
イギリスではプレミアリーグ以外のスポーツでも禁止を主張する声がある一方、ブックメーカーはスポーツの発展に貢献するという意見も出ており、今後の動向が気になるところです。(いずれにせよ競馬やドッグレースでの宣伝は制限しない方向のため、2023年以降はブックメーカー企業の冠レースが増えそう)
個人的には規制する意見も理解できます。ですが、うまく付き合って楽しんでいるプレイヤーの身としてはそのサイトで賭けた私たちのベット(ブックメーカー側の売上)の一部がそうした形でチームや大会に還元されているととらえるなら、スポーツ界でお金が流れる循環として意味もあるのでは?と思います。まぁ半分は負けた時の自分への慰めですが(笑)
イギリスではそんな事情がありますが、またすぐに変わる可能性もあります。結局この先も、さまざまな形で各ブックメーカーはさまざまなスポンサー活動をおこなっていくでしょう。当ページでは一応それらの情報を随時アップデートしていきます。新たなスポンサー就任記念のプレイヤー還元イベントについても掲載しますので、たまにチェックしてみてください!